愛を教えてくれたのは若頭
女は結局微力だ
どんなに喚いても、逃げようとしても
男の力には敵わない
見た目、細い身体だと
勝手に判断していた私は
嫌っていうほどに叩き込まれた
悔しい、とかじゃない
自分が情けない
「茜を飼ってるのは誰?そいつから茜を奪いたいよ」
私の髪を唇につける
嫌だと言いたい
「茜はそいつが好きなの?そんなわけ…ないか。茜は自由が好きなんだよね、」
そう。私は自由を求む
自分が自分でいるために…
「おいで、いい子だ」
私の腕を取るよっちゃんの手は冷たい
あんなに居心地なよく
気を使わなくていい相手だったのに
今は恐怖でしかない
よっちゃんへの恐怖と、
あの日の恐怖が重なる
泣かない、涙なんて流さない
その代わり自分の唇を噛む