愛を教えてくれたのは若頭


解放された口だが
声を発しないように
また唇を噛んで耐えた

こんな仕打ちって…ないよ
私が何をしたの?
よっちゃんに何かした?

気分で私を抱いて
それに対しての報酬を貰う
そんな関係だったでしょ?


「茜…かわいい。我慢しないで、」


我慢?我慢じゃない
また人を憎むなんて…
私は普通に生きていたかったのに…


「ほら、口開けて」


よっちゃんの手により無理矢理口を開けさせられた
もう嫌だ、
お願いだから、聞かないで…


『…いやっ…』


ようやく出た言葉
涙でぐちゃぐちゃになった顔を手で覆う
スマホからは何も聞こえない
通話が切れているのかすら、わからない


意識が遠のく、もう嫌だ…
その時、インターホンが鳴る音がした
けど、よっちゃんは手を緩めない
聞こえていない、わけではないだろう


そのあと、どうなったかなんて知らない
私はそのまま、意識を手放した

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