愛を教えてくれたのは若頭
家庭菜園?…に、しては広い
自給自足なんだろうか
それにしても広い
見える先、全て畑になっている
廊下からウッドデッキに出る
本当に静かで風で木々が揺れる音と
鳥が鳴いている声しか聞こえない
「起きたのかい?」
その声の主は、ほっかぶりをしているお婆さんだった
『はい。あの私はどうしてここに?』
「あの子が連れてきたんだよ」
あの子?誰?
聞こうとすれば、お婆さんは
畑へと歩き出した
『ちょっと待って!私、帰りたいんだけど、どうしたらいいの?』
けどお婆さんは知らんぷりだ
帰りたいと口に出したが
正直、どこに帰ればいいかわからない
家になんて帰れない、いや帰らない
なら晃さんのところ?
あんな事があって帰れるわけがない
なら、どこに?
またあの生活に戻るしかないだろう