愛を教えてくれたのは若頭


家庭菜園?…に、しては広い
自給自足なんだろうか
それにしても広い
見える先、全て畑になっている


廊下からウッドデッキに出る
本当に静かで風で木々が揺れる音と
鳥が鳴いている声しか聞こえない


「起きたのかい?」


その声の主は、ほっかぶりをしているお婆さんだった


『はい。あの私はどうしてここに?』


「あの子が連れてきたんだよ」


あの子?誰?
聞こうとすれば、お婆さんは
畑へと歩き出した


『ちょっと待って!私、帰りたいんだけど、どうしたらいいの?』


けどお婆さんは知らんぷりだ
帰りたいと口に出したが
正直、どこに帰ればいいかわからない
家になんて帰れない、いや帰らない

なら晃さんのところ?
あんな事があって帰れるわけがない
なら、どこに?

またあの生活に戻るしかないだろう


< 148 / 331 >

この作品をシェア

pagetop