愛を教えてくれたのは若頭


それが崩れたのは中学3年の春


「茜に紹介したい人がいるの」


母が連れてきたのは
母より少し年上の男性
何度か食事をしたある日
その男性が連れてきた小学生の男の子
そして、男性に抱かれている小さな男の子

その男にはこどもがいた
知らないのは私だけだった

知らない間に
私抜きで会って交流を深め
初めて会った男の子たちは
私の母の事を「お母さん」と呼んでいる


ショックだった
ずっと二人で暮らしてきて
何かあればすぐ言ってね、
それが母の口癖だった

なのに、
自分の事は言わないなんて
しかも、再婚って…


生まれて初めて
母に裏切られた気がした



その日を境に、忙しい毎日
急な引越し、急な転校
ボロアパートに住んでいた私たちは
住宅街の一軒家に引っ越した

みんな、何事もなかったかのように
楽しそうに笑っている
私には…それが出来なかった

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