愛を教えてくれたのは若頭


「諦めな、希江」
「昔のあんたを見ているようだ」


希江とは、晃さんのお母さんだろう
はぁ、とため息をついた希江さん


「最低限、着物を一人で着れるように。それと作法を覚える事」


それだけ言って希江さんは立ち上がる
それをクリアしたら晃さんに会えるという事だろうか


「期限は1ヶ月。もしダメなら晃には会わせないし、晃にはふさわしい相手との縁談を進めるわ」


いい?1ヶ月よ


そう言って、行ってしまった希江さん
それを追いかけるように行ってしまった久家さん


猶予は1ヶ月、
けど、すぐに思った
着付け?作法?
一体誰が教えてくれるの?


そう考えていたら久家さんが何かを持って戻ってきた


「茜さん、これを」


受け取った私にニコリと笑って
すぐまた行ってしまった

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