愛を教えてくれたのは若頭

負けない



嵐が過ぎ去ったような静けさ
車のエンジン音が聞こえ
タイヤの音が遠ざかっていく



受け取ったもの…なんだろうと
床に置いて、中を見てみた
薄い細長い箱を開ければ
和紙で包まれている

これって…、
恐る恐る開けてみると
綺麗なピンク…いや、桃色といった方がいいのだろうか


「おや、懐かしいね」


キヨさんが懐かしいという言葉に
着物を手に取る


「これはね、希江が堂城に嫁ぐ時に持たせたものだよ。あの子に何もしてやれないから…これなら大丈夫かと思ってね」


キヨさんは着物には触れず
懐かしむように着物を眺めていた


キヨさんの話だと、
希江さんが嫁ぐ時、最低限の物しか持っていかなかったという
最低限、というのは
衣服や装飾品で、アルバムや写真を撮るなどは持たなかったと言う

それは堂城から言われたそうだ

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