愛を教えてくれたのは若頭


縁切り、ではないが
滅多に身内には会えないといい
だから希江さんが私を連れてきたのには
かなり驚いたと言う

希江さんに会ったのは
10年ぶりだという


「そういうことか、」


何かを納得したように
私の目を見てきた


「1カ月であんたを育てる。あんた、あの子に会い会いたいんだろ?」


あの子、というのは晃さんの事だ
うん、と頷くと
キヨさんはくるっと私に背を向け
ついてきな、と奥の部屋へと進んでいった


着物を持ち、急いで追いかけた
私の知らない部屋
ここは、キヨさんが入るなと言っていた部屋だ


中に入ると、和箪笥が並んでいた
一つの引き出しから似たような和紙の包みを出し、中を見せてくれた


「あんたの練習着。1カ月後、あんたはそれを着て、あの子に会いに行くんだ」


これは…なんだ?
けど、希江さんからの試練?
自分を磨く努力?いや、戦いだ

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