愛を教えてくれたのは若頭


それからの毎日は
午前中は畑、午後からは
キヨさんの指導のもと
着付けや作法、そして料理と
キヨさんは色んなことを教えてくれた


『無理ー、足が痺れた〜』


なんて、だらしない格好をすれば
バシッと布団たたきで叩かれる始末
いつの時代だよ、と愚痴をこぼせば


「あの子に会いたくないんだ」


私のやる気を上昇させる
なかなかの厳しさもあるが
晃さんに会いたい気持ちは
日に日に強くなっていった



あっという間の1カ月



「いいだろう」


そう言ってくれたキヨさん
自分で着付けをし、髪もまとめた

最後に、と帯の中に扇子を挟めてくれるキヨさんはニッコリ笑ってくれた


キヨさんが笑うなんて滅多にない
だから大丈夫だなんだと自信が付く
泣きそうになる私の顔を
パシッと両手で挟み

頑張りなさい、と気合を入れてくれた


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