愛を教えてくれたのは若頭

私を迎えに来たのは希江さんでも
運転手の久家さんでもなかった



「久しぶり、茜ちゃん」


ストライプの細身のスーツを着て
白いツーシートの車


『風間さんっ！』


久しぶりに見た風間さん
相変わらずの二枚目に
胡散臭い笑顔に笑ってしまう



「茜ちゃん、申し訳なかった。俺があの時、しっかりマンションに送っていれば、あんな事にはならなかった…」


そう言って頭を下げる風間さん
けど、それは違う


『風間さん、あれは私が悪いの。風間さんがいないのに、寄り道なんてしたから。だから頭をあげてください』


それに、日頃の行いが悪すぎたの
そう笑えば、風間さんは申し訳なさそうに笑ってくれた


キヨさんに別れを告げ
風間さんの車で私はある所へ向かった
その時の私は、どこへ行き
これから何があるかわからない
けど、絶対負けない、と気合を入れていた