愛を教えてくれたのは若頭

豪華な宿



今日は早めに客を探そう
何もかも、忘れたい


荷物をコインロッカーへ入れる
毎日、客を探すより
風俗とかで働いた方が楽なのかな?

けど、給料ってのが嫌だ
それなら、まだこのままでいい


「君、一人?」


顔を上げれば
身だしなみがしっかりしているお兄さん


『一人だよ、なーに?』


こんな真昼間にスーツ着て
私みたいなのに話しかけてくる
しかも…若い、

少し警戒しながらも、ニッコリ笑って答えると、お兄さんは私の隣に座った


「いくら欲しいの?」


やはり怪しい、
そう思ったら、話には絶対乗らない


『私、そんなんじゃないよ?』


そう言って、立ち上がり
お兄さんに手を振った
一度だって私の直感は外れた事はない

それを信じないウリ仲間は
補導されていった所を何度も見た


こんな生活を1年以上続けている
身についた知恵、みたいなモノだ

< 17 / 331 >

この作品をシェア

pagetop