愛を教えてくれたのは若頭

異常



久しぶりに帰ってきた
晃さんのマンションは
懐かしい気もしたが
なんだか殺風景に感じてしまった


なんか、冷たい感じ…


キヨさんの所へ帰ると思っていたから
きちんとお別れも言えていない
あんなにお世話になったのに…


着物を脱ぎ、着物を専用ハンガーに掛け
帯や紐を丁寧に片付ける
紐を取ろうとした自分の指先が
うまくチカラが伝わらない


『やだ、今更…』


微かに震えているのがわかる
着物を脱いだことによって
解放されたことで
今になって、色々な感情が入り混じる


けど、大半の答えが、良かった、だ
自分の手を握り、深呼吸をする



「会いたかった…」


耳元で聞こえる声に
身体が熱くなる


『心配かけて、ごめん』


回される腕
密着する身体
やはり、少し痩せたみたい

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