愛を教えてくれたのは若頭
磨りガラスの前に立つ
いざ声を出そうにも
どうやって言ったらいいか…
やっぱりやめようかと後ずさりをした
「一緒に入るか?」
居ることに気がつかれていたのかと驚きはあったが、とそれ以上に
一緒にお風呂という事に焦った
『な、な、何っ!む、無理だよっ』
数ヶ月前の私には考えられない発言
過去に何度も知らない男と
そういう事はしていた
変わらないと思っていたが
人って変わるものだと実感した
顔が熱い、
出ようとすれば、また呼び止められた
「明日、一緒に裕也の家に行くか」
裕也の家とは、あの家だ
私の家ではない、私の居場所は無いと
伝えていたからシックリくる
『…いいの?』
「ああ、一緒に行こう」
ありがとう、と言おうとしたら
磨りガラスが開いた
湯気と一緒に肌が見える
悲鳴と呼べるくらいの大声をあげ
逃げるように出た