愛を教えてくれたのは若頭


前に来た時までは手入れされていた
母自慢のガーデンは
雑草や枯れ果てた木々でメチャクチャだ
それ程、母は病んでいるのだと確信した


インターホンを押せば
聞きなれない女の人の声
茜です、と言えば開けてくれるという
誰だと思ったが、玄関の扉が開いて
その人が湯川の母親だと理解した


「茜ちゃん、ひさしぶ…り。そちらの方たちは?」


『お久しぶりです、こちらはーー』


どう説明しようかと一瞬悩んだが
すぐさま間に入ってくれたのは風間さん


「初めまして。わたくし、弁護士をしております風間といいます。茜さんとは、学校の講習で色々お話をお聞きして、本日は何かお手伝いできないかと思いましてお伺いしました」


軽く頭を下げれば、湯川の母親も
頭を下げていた
私みたいな子供が弁護士を連れてくるなんて思ってもみなかったのだろう

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