愛を教えてくれたのは若頭


「ねーちゃん」


玄関を出ようとすれば呼び止められた
これが最後になるだろう


『裕也、ごめんね。お姉ちゃんらしいこと、何もしてあげられなくて…』


一人っ子だった私は
義理でも兄弟が出来た事に
戸惑いもあったけど、嬉しかった
けど、どうやって仲良くなるのか
いまいちわからなく距離を取ってしまった


「違うよっ!俺、ねーちゃんが出来て、めちゃくちゃ嬉しかった。けど…、恥ずかしくて…だから、嫌な態度…とって…」


語尾が小さくなる
なんだ、裕也も同じだったのか
もう少ししたら
裕也と赤の他人になる
二度と会わないだろうと思った


『立派な弁護士さんになってね』


それしか言えない
裕也がなりたいものを応援するしか…
晃さんの胸に顔を埋め
私は湯川の家を出た



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