愛を教えてくれたのは若頭


彼女は晃さんと別れる時に
そう説明したという
ヤクザと言う肩書きは
晃さんには消せないし辞めることが出来ないことだ

だから仕方がない、と
彼女が幸せになれるなら、と
別れを承諾した

晃さんと別れて数日後
たった数日しか経っていないのに
彼女は男と一緒に
街を楽しそうに歩いていた
どこからどう見てもカップル

ショックだったが仕方がないこと、
関係ないとそう思い視線を移した時
また視線を戻した
彼女が楽しそうに話している隣の男
つい先日まで、堂城の組に在籍し
田舎の実家の農家を継ぐと
出て行った男だ



『…それから、どうしたんですか?』


「んー?まあ、あいつが暴れて大変だったくらいしか覚えてねぇな」


晃さんが暴れること自体驚きだが
あまりにも酷すぎる事に
久しぶりに怒りを覚える

< 239 / 331 >

この作品をシェア

pagetop