愛を教えてくれたのは若頭


嗚咽が出そうになり
それを止めようと身体を縮める
磨りガラスの前で蹲ってしまった

晃さんに別れを言われる
そう思うだけで悲しい
けど…
いまの私は晃さんが救ってくれた
恩返しがしたいとずっと考えていた

それなら私から去った方が、
それが晃さんへの恩返しになるんじゃないかって、思ってしまった


「お前は、永遠の愛を信じるか?」


そう聞こえた声は
思ったより近く
顔を上げて距離を確認すれば
いつのまにか磨りガラスは開けられ
湯気と一緒に真っ裸の晃さんが見える



上半身裸は毎日のように見ているが
流石に全裸は…っ、
しかも私の目線にあるもの…っ!



『わっ、あ、や、ご、ごめんっ!』


我に帰った私は
慌てて自分の手で目を隠した
アレだけ男のアレを見てきたのに
晃さんのだと、こうも違うのだ

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