愛を教えてくれたのは若頭


カチッと、聞きなれない音
何が起こっているかわからない
目隠し用のガラスを見ていると
何かが動いている


目隠し用のガラスの横から顔を出したのは風間さん


「あ。それはまずいね」


そう言いながら自分が着ていた上着を脱ぎ私にかけてくれた
痛くない?と聞きながら
手首と口ののネクタイを解いてくれた


『か、風間さんっ!』


「うん、ごめんね」


ホッとした気持ちもあり
風間さんに抱きつこうとしたが
ドン、という音に身体がビクついた
見てみると、
目隠し用のガラスに湯川の背中がぶつかっている


そうさせているのは…晃さんだ
晃さんが何かを持ち、
それを湯川に突きつけている


「茜ちゃん、見たらダメだよ」


そう言って私の頭をぽん、と叩き
風間さんは晃さんの方へ行った

< 277 / 331 >

この作品をシェア

pagetop