愛を教えてくれたのは若頭


まずは…、と言い始めた晃さん
まずは?って事は
決める事がいくつもあるってこと?


「一つ目は、茜のこれからのことだ。お前、働くか?」


てっきり、結婚のことかと思い
強張っていた身体の力が抜ける
なんだよ、期待して損した


「あ?なんだ、そのクチっ!」


期待外れな言葉に
私はクチを尖らせてしまい
ムニュっと晃さんの手によって
タコの口になってしまう
眉間にしわを寄せた晃さんは
直ぐフッと笑い
「その顔、可愛い」とつぶやき
タコの口にキスをする


「茹で蛸かよ、」


やっと解かれた口元
茹で蛸で悪かったわね、と
言い返したいが、恥ずかしさのほうがマシ、何も言い返せなかった


で?、と話を進める晃さん
何故いきなりその話を聞いてみると
これまた懐かしい人の名前が飛び出した

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