愛を教えてくれたのは若頭



滲んだ視界の中
何かが目の前にある
それが何かわからない
涙を拭くことも、したくない


もう、終わりなんだと…




「ーーーしよう」



瞬きをすれば
溜まった涙がながれ
そのおかげで
滲んだ視界が綺麗に広がる


私の前に差し出されたモノ
それは小さな箱に入っていて
真ん中にピンクに輝いている



『…なんで、ピンク?』


驚いた私の言葉に晃さんは
クスリと笑い四角い箱の中から摘まみ出す


「普通にダイアでいいと思ったのか?俺の愛を舐めるな。ピンクダイアは“完全不可欠な愛だ”それに、茜にはこっちが似合う」


そう言いながら
晃さんは私の左手を取り嵌めてくれた
ピッタリと収まった指輪
夢でも見ている気分だ

左手を上へと上げ
自分の手を見つめる


キラキラと輝く
晃さんからの完全不可欠な愛
クリアになったはずの視界が
また滲んできた

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