愛を教えてくれたのは若頭



ニヤついてるだろうか?
チラッと晃さんを見れば
いつもとあまり変わらない
確かに今日はいつもと違い
柔らかい顔つきだ
けどそれは
仕事じゃないからだと
私は勝手に思っていた



「この家は、あの子の実家である前に堂城の本家なの。もちろん組員も出入りするから、ここに来る時も眉間にシワ寄せてくるわけよ。…けど、まぁ…、あの子のあんな顏を見たのは久しぶりだわ」


希江さんは嬉しそうに
晃さんを眺めていた
それは正しく母親の顔

希江さんを見ていたら
やはり思い出されるのは母のことだ
施設に入っているとはいえ
前の母に戻るのか不安だ

もし戻ったとしても
私が母に会えるのか、
母に会いたいと思うのかわからない
それでも、やはり忘れられない


私が大好きだった頃の母を…

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