愛を教えてくれたのは若頭
晃さんは披露宴みたいなものは必要ない
堂城の本家で傘下の人達を呼んで済ませば良いと言うが
希江さんは
白無垢も打掛もドレスも着させてあげたいと会場でやると言う
二人とも一歩も引かず平行線
私はどちらでも良い
だって、結婚なんて夢にも思わなかったし、まして結婚式なんて
夢のまた夢だったから…
どうしよう、と思っていたら
組長さんがキッチンへと入ってきた
もう一杯頼む、と
飲み終えた湯飲み茶わんを手にしていたので、それを受け取る
「希江は、自分がやれんかったことを茜にさせてやりたいんだろうな」
希江さんが結婚した時に
既にお腹の中に晃さんがいた
それは30年前
組長さんのお父さんもお母さんも
まだまだ健在で
今より極道というのが表に出ていた時代
それもありドレスなんて着れない時代だ