愛を教えてくれたのは若頭



防犯カメラをチェックすると
あの娘と知らない男が映る
一度、マンションに入り外へ出たところだ
マンション内ではないから
画面の端に映っている


「……茜の男、ではなさそうだ」


弘信の言葉を耳に入れながら納得する
男の顔がハッキリ映っていないものの
男は手首を掴んでいる
娘が怯えているように映っている



「この男の部屋だ」


警備員二人と一緒にエレベーターに乗る
重装備をしている警備員
一般的な警備員ではない
軍隊上がりや空手や柔道の上級者

このマンション、警備会社が
堂城の傘下の持ち物だなんて
誰も知らないだろう
私でさえ、今気がついたのだ



一つの部屋のドアの前で足が止まる
警備員がインターホンを押す
はい、と男の声がした


「警備のものです。こちらの部屋の警告ランプが付いていましたので、念のために調べさせて頂きたいのですが…」


男は渋る言葉を発したが
玄関のブレーカーボックスを確認するだけだと伝えると、すんなり了承してくれた

< 324 / 331 >

この作品をシェア

pagetop