愛を教えてくれたのは若頭


部屋に入ると声を荒げてしまった


「誰も入ってこないでっ!」



玄関先で警備員二人が
ここの住人である男を取り押さえていた
私はあの娘を探すため手当たり次第
部屋のドアを開けた


その中で一つの部屋に娘はいた
その姿に寒気が走る
弘信さんと久家を部屋に入れず
娘に駆け寄る




まさかと思ったが
近くによれば、小さな呼吸が聞こえる
だが、規則正しい呼吸ではない


「久家っ!車をっ!あと先生もっ!!」


そう怒鳴りちらし
無残な姿にシーツを掛けた
大丈夫?と問いかけ、手を握れば
弱々しく握り返してきた


「しっかりしなさいっ!」


つい大きな声をあげれば
娘は薄く目を開け私をとらえた


『…ご、め…なさぃ…、あ…らさ…』



衝撃だった…
この娘は私を晃と見間違え、謝った
晃に迷惑をかけたと思ったのだろう
今まで晃に寄り付いたメス共と
明らかに違うのだ

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