愛を教えてくれたのは若頭


晃のことは弘信さんに任せよう
その前に…この娘を、



「姐さんっ、先生をお連れしました」


バタバタと入ってきたのは
ラフな格好をした40代の女医
ブラウンにカラーされた髪を一つに束ね
黒縁メガネをしている


「ねーちゃん、どうした?」


ねーちゃん、と呼ばれるが
決して私の妹ではない


「沙知、この子を診てやって」


茜の姿を見た沙知の顔つきが変わった
手首を取り、右手で娘の首に手を添えた


「ねーちゃん、連れてくわ」


そう言うと、久家に指示をし
茜を運び出した
その頃には既に弘信さんが
あの男を連れ、居なくなっていた

部屋を出ようとした時バイブ音が聞こえた


何かと思えばベットの上に置かれたスマホ
画面には晃の名前
あの娘のだと理解し
スマホと鞄を持ち部屋を出た

< 327 / 331 >

この作品をシェア

pagetop