愛を教えてくれたのは若頭
晃のことは弘信さんに任せよう
その前に…この娘を、
「姐さんっ、先生をお連れしました」
バタバタと入ってきたのは
ラフな格好をした40代の女医
ブラウンにカラーされた髪を一つに束ね
黒縁メガネをしている
「ねーちゃん、どうした?」
ねーちゃん、と呼ばれるが
決して私の妹ではない
「沙知、この子を診てやって」
茜の姿を見た沙知の顔つきが変わった
手首を取り、右手で娘の首に手を添えた
「ねーちゃん、連れてくわ」
そう言うと、久家に指示をし
茜を運び出した
その頃には既に弘信さんが
あの男を連れ、居なくなっていた
部屋を出ようとした時バイブ音が聞こえた
何かと思えばベットの上に置かれたスマホ
画面には晃の名前
あの娘のだと理解し
スマホと鞄を持ち部屋を出た