愛を教えてくれたのは若頭


向かったのは沙知の診療所
沙知の格好からは想像できないくらい
綺麗で清潔感がある診療所だ

そして何より…



「沙知先生、レントゲン撮りますね」


「お願い。…服、切るわね」


沙知の診療所には助手がいる
カドちゃん、とよばれている
彼もこの診療所と同じで
清潔感あふれる白い医療着を着て
にこやかな顔をしている

風間と同じくらい爽やか…だが
風間以上に腹黒いだろう


チラッと見えた娘の肌
赤く腫れて痛々しい
見てらんない、


沙知に託し外へ出た
久家はいるが弘信さんがいない
どうも落ち着かない


「久家、煙草ある?」


久家は驚いた顔をしたが
胸ポケットから取り出した
煙草を吸うなんて、久しぶりだ
弘信さんが警察に連れて行かれた時以来だ

落ち着け、と自分に言い聞かせながら
久しぶりに肺に空気を入れた

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