愛を教えてくれたのは若頭


ねーちゃん、


その声に振り向くと
沙知が私の方へと歩いてきた



「身体は軽傷、擦り傷程度だから問題なし。レイプまがいなことされてたから、注射は打っといた。炎症も次第に治るから問題なし。…あとは、精神的なもん」


沙知が言うには
何度か薄っすら意識を取り戻すも
話がかみ合わないのと情緒不安定


「身体もだけど、心のケアが必要」


沙知の言葉に
やはり母に預けようと決めた
母なら…母ならこの娘を変えてくれる


正直、この娘が晃にふさわしいなんて全く思えない
自分の過去と似たこの娘が…
自分の子供に自分みたいなのが
くっついて欲しくない

けど…晃が選んだのは確かだ
ならこの子を育ててみても
いいのではないかと思った
どれだけ結果が出るかわからない
それでも、やらなきゃ
晃のため、堂城のため…


何よりも…この娘、茜のために。



【完】
< 330 / 331 >

この作品をシェア

pagetop