愛を教えてくれたのは若頭


また二人っきりになった
結局、何が聞きたいのかわからず
どう答えていいか悩み口を閉ざす

少しの沈黙の後
堂城さんが口を開いた



「何故、家に帰らない」


その言葉にドキッとした
何故知っているの?

堂城さんを見れば
何事もない顔をして
グラスを飲み干す


「毎日のように、いろんな場所で客を探して金を稼ぐ…」



私の行動を知っている
なんで?と思ったが
そういえば、風間さんと話した時
後部座席の窓が閉まった事を思い出した

もしかして、後部座席にいたのは
堂城さんだったのかもしれない



『…人違いですよ』


けど、堂城さんは私を見透かすように
じーっと見てくる
別に堂城さんに迷惑をかけているわけじゃない、なのにへんな汗が出る


どうして…
そんな思いだけがループする

< 52 / 331 >

この作品をシェア

pagetop