愛を教えてくれたのは若頭


「堂城の若、ご苦労様です」


「ああ、ご苦労」


晃さんから見たら父親くらいの年齢の男性
なのに、どうみても立場は晃さんの方が上


「堂城の若、そちらの女性は…」


質問にギャラリーが静かになった
その男性は私へと目を向けた
その目は興味本位の目ではなく
今にも嚙みつきそうな目

そして、隣にいる娘だろう女性も
私を睨みつけている


「ああ、俺の女だ」


言い放った瞬間、
またざわつき始めた
目の前の男性は目を見開き
隣の女性は歯を食い縛るように
口元を結んでいる


怖い…
これほどまでに敵意の目を向けられるなんて思ってもみなかった
微かに震える身体


「なんか文句でも、あんのか?」


そう言って私を引き寄せた晃さん
その言葉でざわついた空気も
目の前にいる二人も息をのむ

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