愛を教えてくれたのは若頭
晃さんの視線をたどる
先には袴を着た50代の男性と
着物を着た40代くらいの女性がいた
男性の方はどことなく
晃さんに似ている…て、事は…
晃さんは行くぞ、て言って
ゆっくり二人に近づいていく
男性の方はそこまで…だが
女性の方は明らかに私を睨みつけている
「お疲れ様です、組長…姐さん」
晃さんが「若」と呼ばれている
ならば組長というのは、
晃さんの上の人に当たる
近くで見ると、尚更だ
この二人は晃さんの両親だ
「晃、その女はなんだ?」
組長さんは私を顎で指す
姐さんと呼ばれていた人は
扇子を出しパタパタと扇ぎ始めた
「俺の女です」
言い切ると
パチン、と扇子を閉じる音がした
組長さんはそうか、という顔だが
隣からは殺意めいた視線が痛い