青に溺れる
君に溺れる
俺は妹が好きだ。
それだけを聞くと、ただのシスコンな兄だと思うだろう。

もちろん妹としても好きだが、恋愛感情を抱いている。
そう気づいたのは、妹が中学2年生のときだった。

俺はそのとき大学生で、ある程度恋愛経験はあったし、それまでに付き合った女の子だって何人かいた。

しかし本気で好きになり、付き合った女の子なんてひとりもいない。
どうしたら本気で人を好きになれるのかわからなかった。

そんなある日だった。
俺は放課後に妹と買い物をする約束をしていて、中学の近くの公園で待ち合わせをしていた。

『拓海くんおそーい!』

待ち合わせの時間よりも5分遅れで到着した俺を見て、透子は怒りの表情だった。

『ごめん。バスに乗り遅れてさ』

『じゃあアイスおごってくれたら許す』

『…わかった、しょうがないな』

『やった!』

透子は笑って、俺に早く行こうと促す。
その表情は中学生らしい、あどけない笑顔だった。

俺たち兄妹は歳が離れているせいか、比較的仲が良く、時々待ち合わせをしてどこかへ行くこともあった。

透子の友達にばったりあったときは、カップルだと冷やかされたこともあったくらいだ。

俺たち兄妹はあまり似ていなかった。
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