青に溺れる
それからは透子を意識するようになっていた。
こんなにも誰かを意識したことがあっただろうか。

透子が高校生になる頃には、いままで通り兄妹としてやっていくのが無理なのではないかと思い始めるようになった。

想いを告げてしまおうか。
何度もそう思った。

でも透子が、俺を異性として意識するわけがない。
気持ち悪がられるだけだ。

そんな思いに駆られるも、告げられないままあの日を迎えた。
透子が大学受験を半年前に控えた日。

『透子さんはがんに侵されています。もってあと1年でしょう』

俺はいままでで一番の衝撃を受けた。

透子ががん?
何かの間違えか?
診療ミスじゃないか?

夢ならいい。

自分の頬をつねっても、壁に頭を打ち付けても、何をしても夢なんかじゃなくて現実だと思い知らされる。

透子は日に日に弱り始めている。
頬だって、なんとなく痩せこけた気がする。

透子のために何もできない自分を恨んだ。

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