明日へ馳せる思い出のカケラ
悪戦苦闘しながらも困難を乗り越えた彼は、まだ会社内では若輩ながらも大きな実績を残すことに成功する。
彼の不屈な頑張りが成果を収めた当然の結果なのだろう。
しかしその実績によって、彼は社内における一つのプロジェクトを担う事になってしまったんだ。
そしてその結果、彼は年明け早々から海外現法への出向が義務付けられてしまったというのだ。
「ただでさえ忙しいっていうのに、急な海外出向が決まっちまったからな。これでお前とはしばらく会えそうにない。
こんな大荒れの天気の中で悪いと思ったんだけどさ、それでも最後にお前だけには会っておきたかったんだよ」
彼は少し寂しそうな表情でそう告げた。
自分の将来に対する不安や迷いより、俺の身を案じてくれている。そう思えるほどに、彼からは痛切な哀しさが伝わってきたんだ。
まったく、どれだけ人が良いと言うんだろうね、彼はさ。
普通の転勤だって心配は尽きないだろうに、海外出向なんていったらその何倍も気苦労が絶えないはずなんだ。
それなのに彼は俺みたいな小さい人間を放っておくことが出来ない。
真っ先に切り捨ててもなんら問題の無いちっぽけな存在の俺を、彼は最後まで見捨てようとはしなかったんだ。
それなのに俺の脆弱さは身勝手極まりなかった。
だってその瞬間に俺が考えたのは、置いてきぼりにされる寂しさに対して身悶えするばかりだったんだからね。
俺の心の弱さは本当に呆れたモンなんだ。
これで俺は完全な一人ぼっちになってしまうのか。孤独っていう地獄に突き落とされてしまうのか。そう感じる恐怖感に苛まれてしまったんだ。
その時の俺の落胆ぶりは、どれだけひどく暗いものだったんだろうね。
年に数度しか会わないまでも、彼と共有できる時間は俺をどれだけ救ってくれていたのだろうか。どれだけそれに俺はすがっていたのだろうか。
もう会えなくなると知った今になって、その大切さに気付かされる。
クソっ、いつだってそうなんだ。何にしても永遠なんて有りはしない。
それなのに俺は身近にある間はそれが当然の成り行きだとばかりに甘え、そして御座なりにしてしまうんだ。
そしてそれらを失ったとき、その重要性に改めて気づかされ意気消沈する。
もう決して元に戻りはしない。
そう、流れゆく時間の様に、失った存在は掛け替えの無いものばかりであり、どれだけ望んだとしても戻ってはくれないんだ。
彼の不屈な頑張りが成果を収めた当然の結果なのだろう。
しかしその実績によって、彼は社内における一つのプロジェクトを担う事になってしまったんだ。
そしてその結果、彼は年明け早々から海外現法への出向が義務付けられてしまったというのだ。
「ただでさえ忙しいっていうのに、急な海外出向が決まっちまったからな。これでお前とはしばらく会えそうにない。
こんな大荒れの天気の中で悪いと思ったんだけどさ、それでも最後にお前だけには会っておきたかったんだよ」
彼は少し寂しそうな表情でそう告げた。
自分の将来に対する不安や迷いより、俺の身を案じてくれている。そう思えるほどに、彼からは痛切な哀しさが伝わってきたんだ。
まったく、どれだけ人が良いと言うんだろうね、彼はさ。
普通の転勤だって心配は尽きないだろうに、海外出向なんていったらその何倍も気苦労が絶えないはずなんだ。
それなのに彼は俺みたいな小さい人間を放っておくことが出来ない。
真っ先に切り捨ててもなんら問題の無いちっぽけな存在の俺を、彼は最後まで見捨てようとはしなかったんだ。
それなのに俺の脆弱さは身勝手極まりなかった。
だってその瞬間に俺が考えたのは、置いてきぼりにされる寂しさに対して身悶えするばかりだったんだからね。
俺の心の弱さは本当に呆れたモンなんだ。
これで俺は完全な一人ぼっちになってしまうのか。孤独っていう地獄に突き落とされてしまうのか。そう感じる恐怖感に苛まれてしまったんだ。
その時の俺の落胆ぶりは、どれだけひどく暗いものだったんだろうね。
年に数度しか会わないまでも、彼と共有できる時間は俺をどれだけ救ってくれていたのだろうか。どれだけそれに俺はすがっていたのだろうか。
もう会えなくなると知った今になって、その大切さに気付かされる。
クソっ、いつだってそうなんだ。何にしても永遠なんて有りはしない。
それなのに俺は身近にある間はそれが当然の成り行きだとばかりに甘え、そして御座なりにしてしまうんだ。
そしてそれらを失ったとき、その重要性に改めて気づかされ意気消沈する。
もう決して元に戻りはしない。
そう、流れゆく時間の様に、失った存在は掛け替えの無いものばかりであり、どれだけ望んだとしても戻ってはくれないんだ。