明日へ馳せる思い出のカケラ
第25話 君が言ってくれた言葉
「!」
イヤホンから聞き覚えのある曲が奏でられてくる。
とても懐かしく、気持ちを柔和に癒してくれる様な、そんな優しい曲が。
その曲はかつて、君が大好きだった女性人気歌手が歌っていた曲だった。
そう、あの秋の大会の折、君が俺にイタズラでダビングしたあの曲だったんだよ。
決して忘れるはずがない、ゆったりとした曲調のラブソング。
でもどうしてこの曲が流れて来たのだろうか。
このマラソンに臨む前、俺は最近リリースされた新しい曲ばかりを厳選してダビングしていたはずなんだ。それも元気が湧き出す様なアップテンポな曲ばかりをね。
それなのに君が好きだったこの曲が流れて来るなんて、信じられるわけがない。
確かに所持している携帯型オーディオプレイヤーは、かつて君と付き合っていた頃に使っていたものと同じ物だ。
だからその原因は、俺が曲のデータを削除し忘れていただけなんだろう。
でもさ、こんな事ってあるんだろうか。どう頭を捻ったって信じられないよ。
だけどね、偽りなしに俺の耳にはこの歌が聞こえているんだよ。それも疲れ切った体を温かく包み込んでくれる様に、気持ちを楽にさせてくれるんだ。
俺は素直に自分自身の心に従った。いや、本当の自分を受け入れた。それが正しい表現なのかも知れない。
そして俺は再び君との思い出を心に映し出す。それが掛け替えの無い大切なものだったのだと、十分に理解しながら――。
いつだって君は俺との未来を強く望んでいた。君が俺に差し向ける愛情は本物だったんだ。
俺はそんな温かい想いに幾度も励まされ、またそんな優しい気持ちに甘え過ぎてしまった。
そんな俺自身の不甲斐ないバカさ加減については、もう十分過ぎるくらいに心に刻み込んでいる。
でもなぜなのかな。今になって考えられずにはいられないよ。ううん、そうじゃない。本当はずっと前から、君と一緒の時間を共有していた時から、俺は心の片隅で考えていたはずなんだよね。
どうして君はそれほどまでに、俺なんかを想い続けてくれたのだろうかって。
イヤホンから聞き覚えのある曲が奏でられてくる。
とても懐かしく、気持ちを柔和に癒してくれる様な、そんな優しい曲が。
その曲はかつて、君が大好きだった女性人気歌手が歌っていた曲だった。
そう、あの秋の大会の折、君が俺にイタズラでダビングしたあの曲だったんだよ。
決して忘れるはずがない、ゆったりとした曲調のラブソング。
でもどうしてこの曲が流れて来たのだろうか。
このマラソンに臨む前、俺は最近リリースされた新しい曲ばかりを厳選してダビングしていたはずなんだ。それも元気が湧き出す様なアップテンポな曲ばかりをね。
それなのに君が好きだったこの曲が流れて来るなんて、信じられるわけがない。
確かに所持している携帯型オーディオプレイヤーは、かつて君と付き合っていた頃に使っていたものと同じ物だ。
だからその原因は、俺が曲のデータを削除し忘れていただけなんだろう。
でもさ、こんな事ってあるんだろうか。どう頭を捻ったって信じられないよ。
だけどね、偽りなしに俺の耳にはこの歌が聞こえているんだよ。それも疲れ切った体を温かく包み込んでくれる様に、気持ちを楽にさせてくれるんだ。
俺は素直に自分自身の心に従った。いや、本当の自分を受け入れた。それが正しい表現なのかも知れない。
そして俺は再び君との思い出を心に映し出す。それが掛け替えの無い大切なものだったのだと、十分に理解しながら――。
いつだって君は俺との未来を強く望んでいた。君が俺に差し向ける愛情は本物だったんだ。
俺はそんな温かい想いに幾度も励まされ、またそんな優しい気持ちに甘え過ぎてしまった。
そんな俺自身の不甲斐ないバカさ加減については、もう十分過ぎるくらいに心に刻み込んでいる。
でもなぜなのかな。今になって考えられずにはいられないよ。ううん、そうじゃない。本当はずっと前から、君と一緒の時間を共有していた時から、俺は心の片隅で考えていたはずなんだよね。
どうして君はそれほどまでに、俺なんかを想い続けてくれたのだろうかって。