明日へ馳せる思い出のカケラ
第10話 一年後の過ち
後期試験の全日程が終了した翌日、俺はキャプテンの彼に呼び出されて部室に赴いていた。
君とのわだかまりが払拭できないまま試験に臨んだ影響なんだろうね。テストはあえて言う必要がないほどにボロボロだった。
そんな悶々とした状態で部室を訪ねた俺は、キャプテンから唐突に告げられた頼み事に驚きを見せるも、さして反発することなくそれを引き受けてしまったんだ。
これをキッカケにして君と仲直りが出来るかも知れない。単純にそう思ったんだろうね。
そしてキャプテンからの依頼を聞いた俺は、それを手にしながら君に久しぶりの電話を掛けたんだ。
キャプテンの彼が俺に依頼した一つの仕事。
それは入院中の彼女が部室に残した荷物を、本人に返却してほしいって事だった。
彼女は自分から退部したわけじゃない。陸上を続けられなくなった今でも、きっと彼女は走り幅跳びを好きなままでいるはずなんだから当然だ。
でも俺が属する陸上部は一年間に渡り活動を怠った場合、その理由に関係なく部から去らなければいけなかったんだよね。
彼女の病気の事は部の誰しもが承知する事実であり、同情の余地は多大に存在する。
でもルールはルールだから仕方がない。キャプテンの彼とて、それは断腸の決断だったはずだ。
部の規範を正しく律するため。また幽霊部員の排除を目的とした決め事だったんだろう。
ただしその理由次第では、条件付きではあるものの再入部は容認されている。
だから彼女がまた、陸上の出来る元気な体を取り戻したならば、再び部に戻る事は可能なはずなんだ。
でも今はとりあえず部の規律に基づき、彼女を一旦退部させる運びとなってしまったんだよね。そして俺は、そんな彼女が部室に残した荷物を返却する勤めを任せられたんだ。
その理由は単純なものさ。彼女の最も親しかった同輩が君であって、俺はその彼氏なんだからね。そこに不自然さは見受けられない。
まぁ本当のところは、キャプテンが彼女や君の連絡先を知らなかっただけなんだけどさ。
しかし君に電話して俺は現状に息を飲んだ。いや、それは少しオーバーな表現かな。
実はその時、君は季節的に流行するインフルエンザに侵され、高熱を出して寝込んでいたんだ。
君とのわだかまりが払拭できないまま試験に臨んだ影響なんだろうね。テストはあえて言う必要がないほどにボロボロだった。
そんな悶々とした状態で部室を訪ねた俺は、キャプテンから唐突に告げられた頼み事に驚きを見せるも、さして反発することなくそれを引き受けてしまったんだ。
これをキッカケにして君と仲直りが出来るかも知れない。単純にそう思ったんだろうね。
そしてキャプテンからの依頼を聞いた俺は、それを手にしながら君に久しぶりの電話を掛けたんだ。
キャプテンの彼が俺に依頼した一つの仕事。
それは入院中の彼女が部室に残した荷物を、本人に返却してほしいって事だった。
彼女は自分から退部したわけじゃない。陸上を続けられなくなった今でも、きっと彼女は走り幅跳びを好きなままでいるはずなんだから当然だ。
でも俺が属する陸上部は一年間に渡り活動を怠った場合、その理由に関係なく部から去らなければいけなかったんだよね。
彼女の病気の事は部の誰しもが承知する事実であり、同情の余地は多大に存在する。
でもルールはルールだから仕方がない。キャプテンの彼とて、それは断腸の決断だったはずだ。
部の規範を正しく律するため。また幽霊部員の排除を目的とした決め事だったんだろう。
ただしその理由次第では、条件付きではあるものの再入部は容認されている。
だから彼女がまた、陸上の出来る元気な体を取り戻したならば、再び部に戻る事は可能なはずなんだ。
でも今はとりあえず部の規律に基づき、彼女を一旦退部させる運びとなってしまったんだよね。そして俺は、そんな彼女が部室に残した荷物を返却する勤めを任せられたんだ。
その理由は単純なものさ。彼女の最も親しかった同輩が君であって、俺はその彼氏なんだからね。そこに不自然さは見受けられない。
まぁ本当のところは、キャプテンが彼女や君の連絡先を知らなかっただけなんだけどさ。
しかし君に電話して俺は現状に息を飲んだ。いや、それは少しオーバーな表現かな。
実はその時、君は季節的に流行するインフルエンザに侵され、高熱を出して寝込んでいたんだ。