明日へ馳せる思い出のカケラ
自分を犠牲にしてまでも相手を大切にしたい。
そんなお互いを思い遣る優しさが重なり合ってこそ、恋愛っていうのは釣り合いが取れ、そこから愛情が育まれていくもののはずなんだ。
それなのに彼女は自分の欲求を噴出させるばかりで、自ら我慢する気持ちを最後まで見せてくれなかった。
だから俺はそんな彼女の姿を垣間見る度に思い出してしまったんだよ。
君なら自分を差し置いてでも俺の事を考えてくれたはずだって。
君ならどんなに不合理な状況に身を置こうとも、俺の為と思うならば自らの犠牲をいとわなかったはずだってね。
彼女は幼くして重い病気に苦しんでいただけに、周囲からの気遣いや優しさに慣れてしまったのかも知れない。
もしそれが本質的理由だとするならば、それは彼女の責任とは呼べないだろう。
しかし君を失ったばかりの俺の心情からすれば、残念だけどそれを受け入れる事は出来なかったんだ。
だってその時の俺にしてみれば、むしろ与えてもらいたいのは俺の方だったんだから。
結局のところ、俺と彼女は互いに求め合うばかりで与える配慮に欠けていたんだ。
だから俺は彼女を身近に感じるほど虚しさを覚えて仕方なかったんだよ。
彼女を抱くその瞬間だけは快楽に身をゆだねて現実から解放される。
でもそのすぐ後には底なしの喪失感に襲われてしまうんだ。
そして挙句の果てに虚しさだけが積み重なってゆく。
彼女の事が許せない。だけど本当に許せなかったのは俺自身なんじゃないのか。
胸の中でくすぶる君への未練だけが卑しくも彼女に向けられ、自分の責任から逃げ続けている。
そんな自分自身をよく理解出来ていたからこそ、俺は彼女の事を責める気になれなかったんじゃないのか。
彼女の姿がまるで俺自身を鏡に映し出したかの様に思えたからこそ、俺は彼女を許せなかったんじゃないのか。
だから俺は最後まで彼女を非難出来なかったんじゃないのか。
自分で自分を傷付けることに、ためらいを感じてしまったから。
そんな俺の態度に彼女が愛想を尽かしたのは当然だろう。
それに自分が夢見ていた恋愛っていう希望に幻滅してしまった事も、その理由の一つなのかも知れない。
だから俺達の関係は早々に終焉を迎えた。
彼女の初めての恋にほろ苦い傷跡だけを残して。
結局のところ、俺は誰一人として幸せにしてあげる事が出来なかった。
いや、それどころか相手を悲しませてばかりだ。
そんなつもりは一片も無いはずなのに、俺は俺を必要としてくれる大切な人達の心を次々に踏みにじっていく。
そしてそれは俺自身の心にも大きな亀裂を生じさせ、そこから大事なものをどんどんと垂れ流していったんだ。
俺は何もかもを失った。
残されたのは後悔っていう自責の念だけさ。
どうせならそんな訝しい記憶さえも一緒に消え失せてほしかった。
でもそれだけは俺の脳裏にしぶとく腰を下ろしたままだったんだ。
そんなお互いを思い遣る優しさが重なり合ってこそ、恋愛っていうのは釣り合いが取れ、そこから愛情が育まれていくもののはずなんだ。
それなのに彼女は自分の欲求を噴出させるばかりで、自ら我慢する気持ちを最後まで見せてくれなかった。
だから俺はそんな彼女の姿を垣間見る度に思い出してしまったんだよ。
君なら自分を差し置いてでも俺の事を考えてくれたはずだって。
君ならどんなに不合理な状況に身を置こうとも、俺の為と思うならば自らの犠牲をいとわなかったはずだってね。
彼女は幼くして重い病気に苦しんでいただけに、周囲からの気遣いや優しさに慣れてしまったのかも知れない。
もしそれが本質的理由だとするならば、それは彼女の責任とは呼べないだろう。
しかし君を失ったばかりの俺の心情からすれば、残念だけどそれを受け入れる事は出来なかったんだ。
だってその時の俺にしてみれば、むしろ与えてもらいたいのは俺の方だったんだから。
結局のところ、俺と彼女は互いに求め合うばかりで与える配慮に欠けていたんだ。
だから俺は彼女を身近に感じるほど虚しさを覚えて仕方なかったんだよ。
彼女を抱くその瞬間だけは快楽に身をゆだねて現実から解放される。
でもそのすぐ後には底なしの喪失感に襲われてしまうんだ。
そして挙句の果てに虚しさだけが積み重なってゆく。
彼女の事が許せない。だけど本当に許せなかったのは俺自身なんじゃないのか。
胸の中でくすぶる君への未練だけが卑しくも彼女に向けられ、自分の責任から逃げ続けている。
そんな自分自身をよく理解出来ていたからこそ、俺は彼女の事を責める気になれなかったんじゃないのか。
彼女の姿がまるで俺自身を鏡に映し出したかの様に思えたからこそ、俺は彼女を許せなかったんじゃないのか。
だから俺は最後まで彼女を非難出来なかったんじゃないのか。
自分で自分を傷付けることに、ためらいを感じてしまったから。
そんな俺の態度に彼女が愛想を尽かしたのは当然だろう。
それに自分が夢見ていた恋愛っていう希望に幻滅してしまった事も、その理由の一つなのかも知れない。
だから俺達の関係は早々に終焉を迎えた。
彼女の初めての恋にほろ苦い傷跡だけを残して。
結局のところ、俺は誰一人として幸せにしてあげる事が出来なかった。
いや、それどころか相手を悲しませてばかりだ。
そんなつもりは一片も無いはずなのに、俺は俺を必要としてくれる大切な人達の心を次々に踏みにじっていく。
そしてそれは俺自身の心にも大きな亀裂を生じさせ、そこから大事なものをどんどんと垂れ流していったんだ。
俺は何もかもを失った。
残されたのは後悔っていう自責の念だけさ。
どうせならそんな訝しい記憶さえも一緒に消え失せてほしかった。
でもそれだけは俺の脳裏にしぶとく腰を下ろしたままだったんだ。