ディスペア
(7)~此処ではないどこかへ~
「もう、来てたの!?」
優人が息を切らして走ってきた。
「荷物それだけ!?」
「…………え、うん。」
そう言えば優人の荷物がやけに多い。
だって、財布と服と、タオルと、………を持ってくるだけでしょ?
だから私はいつも使ってるこの鞄を持ってきただけなのに。
「ねぇ、その中何が入ってるの?」
「え、服と、食べ物と、………地図と、ばんそこうと、………」
いや、女子かよ!
聞くんじゃなかった………
「………と、家族の写真と、あと………」
あ………
写真か…………
私、一枚も持ってないや。
すると、それを悟って優人が声をかけてくれた。
「あと、カメラも持ってきたんだよ!いっぱい写真撮って、いっぱい想い出作ろう!」
「…………うん。」
この一言で私の波打つ心は一気に穏やかさと明るさを取り戻す。
優人の言葉は魔法の言葉。
いつも私を救ってくれる。
「行こっか。」
だから私はその言葉に素直にうなずいた。
目の前にあるのは駅。
私たちの旅は、ここから始まる。
私たちは電車に乗る。
目的地は、此処ではないどこか。
朝一番の電車はとても静かで、この号車は私たち二人だけだった。
それでも私たちは、二人寄り添うようにして座った。
電車の音が私の体に心地よいリズムを刻む。
私たちはこの電車で行けるところまで行くことにした。
私は昨日、遠足の前の子どものようになかなか寝付けなかった。
だからかな?
さっきからずっとウトウトしてる。
勿論、終点まで行くから途中下車する必要もない。
安心すると、さらに…………
麻彩はそのまま、眠りについた。
隣にいる彼に、寄りかかりながら。
唇にそっと、なにかが触れる。
私はそっと、目を開ける。
目の前にいるのは優人。
「…………夢?」
電車が止まる。
車内は大きく揺れる。
私の体も大きく揺れて……
………………夢じゃない!
私の頭は叩き起こされる。
え、でも今……優人の唇が確かに……
「…………ぇえっっ……!!」
だって今……今………っ……!!
「キキッ……キ…ス………した!?」
私は自分でもビックリするほど取り乱していた。
優人が顔を赤らめて目を反らした。
「…………したよっ!!」
え!………嘘っ……!!
優人が息を切らして走ってきた。
「荷物それだけ!?」
「…………え、うん。」
そう言えば優人の荷物がやけに多い。
だって、財布と服と、タオルと、………を持ってくるだけでしょ?
だから私はいつも使ってるこの鞄を持ってきただけなのに。
「ねぇ、その中何が入ってるの?」
「え、服と、食べ物と、………地図と、ばんそこうと、………」
いや、女子かよ!
聞くんじゃなかった………
「………と、家族の写真と、あと………」
あ………
写真か…………
私、一枚も持ってないや。
すると、それを悟って優人が声をかけてくれた。
「あと、カメラも持ってきたんだよ!いっぱい写真撮って、いっぱい想い出作ろう!」
「…………うん。」
この一言で私の波打つ心は一気に穏やかさと明るさを取り戻す。
優人の言葉は魔法の言葉。
いつも私を救ってくれる。
「行こっか。」
だから私はその言葉に素直にうなずいた。
目の前にあるのは駅。
私たちの旅は、ここから始まる。
私たちは電車に乗る。
目的地は、此処ではないどこか。
朝一番の電車はとても静かで、この号車は私たち二人だけだった。
それでも私たちは、二人寄り添うようにして座った。
電車の音が私の体に心地よいリズムを刻む。
私たちはこの電車で行けるところまで行くことにした。
私は昨日、遠足の前の子どものようになかなか寝付けなかった。
だからかな?
さっきからずっとウトウトしてる。
勿論、終点まで行くから途中下車する必要もない。
安心すると、さらに…………
麻彩はそのまま、眠りについた。
隣にいる彼に、寄りかかりながら。
唇にそっと、なにかが触れる。
私はそっと、目を開ける。
目の前にいるのは優人。
「…………夢?」
電車が止まる。
車内は大きく揺れる。
私の体も大きく揺れて……
………………夢じゃない!
私の頭は叩き起こされる。
え、でも今……優人の唇が確かに……
「…………ぇえっっ……!!」
だって今……今………っ……!!
「キキッ……キ…ス………した!?」
私は自分でもビックリするほど取り乱していた。
優人が顔を赤らめて目を反らした。
「…………したよっ!!」
え!………嘘っ……!!