よく晴れた空に
「中に入らず、ここを囲んで下さい」


「なぜだ!?」



お福が、俺たちを止めた



「会津がこちらに向かっています
手柄を取られてしまいます
中で必死に戦っている者の努力を
無にするおつもりですか?」




「……池田屋を……囲め!!!」








指示を出し、振り返ると


お福はいなかった








会津が撤退して行き


俺たちが中に入ると



お福が、必死に動き回っていた



「土方さん… お福が皆の怪我を
治してるんだ……」





永倉が教えてくれた




俺の痣もやはり……






ある程度の怪我しか、治せないらしい




「永倉さん 手を出して」




動いて帰れるように、治療をしていると



鬼の面を被った福の兄が来た



「やはり…馬鹿だな
新選組に利用されるぞ?」


「見捨てることなど出来ない!」


「俺と一緒にいればいいものを…」


「兄様も大事に思っているわ
でも、新選組も大事なの」



俺の前に来て、面をとると



「コイツは、馬鹿だ
……馬鹿だが、俺の妹だった
俺は、兄と呼ばれる資格などない
だが… 福を泣かせる奴は許さない」



「俺は、泣かせたりしない」



「フッ 福を頼む」



「ああ」









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