よく晴れた空に
幹部会議に、伊東さんが福を呼んだ




「この子は、土方君の恋仲なんでしょ?
近くに家を借りて、通ってもらいましょう!皆、そうしてるんだから!」


嫌味な言い方に、福がピクピクしながら


「何様か知らないけど
私は、恋仲だからここにいるんじゃない!
私は、女中なんです!
住み込みを条件に、給金貰ってないのよ!
家なんて、借りれない!!」


「お金払うなら、出て行ってくれるの?」


「土方さんと恋仲でなければ、ここに
住んでていいの?」


「あら!それは、名案ですね!
恋仲でないなら、そりゃいいわね!」


「なら、別れます」


「ちょっと待て!!
勝手に俺との別れ話を伊東さんとするな」



「土方さん!!恋仲、辞めます!!」



そんな辞め方あるか?



「待て待て…何でそうなるんだよ」




「そうだね!そうしたらいい!!
土方君、別れてもここにいれるんだよ!
恋仲でなくてもいいじゃないか!!」


福の肩を持ったのは、山南さんだった

何か、知っていて

そう言うんだろうが


「福、ちゃんと話そう」


「もしも、私の寿命が明日までなら
その明日まで、ここにいたいの
明日まで、たくさん皆といたい」


「大袈裟ですねぇ」


「お願いします
ここにいたいの…
別れて下さい…」



「俺と所帯を持つことは、考えねぇのか」



「ごめんなさい…考えてないです」




「……わかった」













生きて別れるなんて、ないと思っていた









しかも、こんなヤケクソに…



俺が傷つかない生き物と勘違いしてねえか

しばらく、立ちなおれねぇぞ…





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