図書恋ーー返却期限なしの恋ーー
 亜沙子のLINEでもなんでも、聞いとけばよかった。散々経験値不足をからかってたくせに、俺だって好きな女の連絡先ひとつ満足に聞けてない。代わりのように編集から何度も電話がかかってきて、数時間前に電源を切った。

 ああくそ、とシーツに顔を擦りつける。まだ亜沙子の匂いが残ってる気がする。土に埋まってる骨を探す犬みたいに鼻を押し付けて、こんな自分きもち悪ぃって思うのにやめられない。あー、と声が出る。

 とにかく明日。会いにいこう。話をしないとはじまらない。
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