世界で一番、愛してる。
里葉は岬の先から少し離れたところに、

お父さんが大好きだった。

ガーベラを置いた。

「お父さん。夏輝お兄ちゃん。久しぶり。元気してたかな?」

「私ね、友達ができたんだよ!笑
驚きでしょ笑お母さんも、春輝(ハルキ)お兄ちゃんも柊希(シュウキ)も、楓雪(フユキ)も華夏(ハナ)もみんな驚いてたよ笑」

「でもね、私、そろそろ無理かもしれない…私ねうまく笑えないんだ…
最近は3人もなんか私から離れていっちゃう気がして…
すぅちゃんのときも、絢都(アヤト)のときも私が笑えなかったせいでみんな離れていっちゃったでしょ?またそうなったら私もう立ち直れないんじゃないかなって思って…あの時はお父さんと夏輝お兄ちゃんが助けてくれたからなんとかなったけど、正直言って今お母さんも先長くないみたいだし…華夏もまだ2歳だし…春輝お兄ちゃんの収入と私と柊希と楓雪がモデルでなんとか稼いでるからまぁ多少は大丈夫なんだけど。
そしたら華夏が家出ひとりになっちゃうんだよね…私、映画のオファーも来てるし…でも、華夏はまだまだお母さんが恋しいじゃない?どうしたらいいのかなって…」

話に夢中になって里葉はポロポロ流れる涙に気がつかなかった。

すると後ろから

「里葉」

名前を呼ばれた

里葉は涙を慌てて拭うと笑顔で振り返った

「悠…?」

「何泣いてんだよ。しかもひとりで…」

「悠…?泣いてないよ?」

「嘘だ。泣いてるよ」

「泣いてない…よ」

「泣いてる」

「…っ」

「なにがあったかは聞かないし、ある程度のこともわかったし、今の話も聞いてた」

「そ、そんな…っ」

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