恋する上司は同級生!?
「先輩!お邪魔です」

チャイムを鳴らしながら呼びかける。玄関の鍵が解除された。

「それにしても、うわぁ、先輩って、すごいお金持ちだあ・・・」


目の前に広がるのは大きなタワーマンション。

ぎんいろの外観に、ひたすら緑色に広がる庭園。見上げると、上が見えないほどの高さだ。司先輩は、その最上階。


中学のとき、1度だけ幸歩に連れられて先輩の家に行ったことがある。

そのときは、フツーの一軒家だったんだけどなぁ・・・。

先輩は頑張り屋さんだから、仕事沢山頑張って、このマンションを手に入れたんだ。

なんだか楽しくなってきて、私は解除された先輩の部屋目指してエレベーターに乗り込んだ。

「よお、よく来たな」

先輩はソファから起き上がると机へと移動した。

そしてひんやりと冷たそうなウェットティッシュで机を乾拭きし、すぐさまキッチンへと向かっていった。


私もそれについて行く。

先輩は手際よく「クロックマダム」を作ってくれた。

あ、クロックマダムっていうのは、食パンと食パンの間にハムや野菜などを挟み、ハンバーガーのようにした後、上に目玉焼きを乗せた料理のことね。


「召し上がれ。俺が1番得意な料理」

コトリと音をたてて机に料理が置かれる。

モダンな雰囲気の先輩の部屋・・・。

私がしばらく見とれていると、先輩が私のおデコを小さく小突いた。


「ばーか、冷めちまうだろ。さっさと食え、うまいから」

ハッとしてクロックマダムを見ると・・・。

じゅるり。

これまた美味しそう。

私はナイフで目玉焼きを半分に割った。トロリとした黄身が溢れてくる。

「いただきます!」

黄身の部分とパンとレタス、ハムを口に放り込む。んっん〜♥おいしい!

ほっぺを抑えている私を見て、先輩はクスクスと笑い始めた。

む、むかつく!でも、美味しいんだよなぁ・・・(^^;)

私は残りのクロックマダムを、急ぐように口へ放った。
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