恋する上司は同級生!?
「あの、ありがとうございました。タクシー代は、明日返すんで・・・。」
「馬鹿!いらねーよ、ほんと、お前馬鹿だなぁ」
司先輩は、またクスクス笑う。
「な、馬鹿ってなんですか!?」
私は足を前に踏み出し、司先輩を睨もうとしたのだが・・・。
「あっ!?」
カッコつけて履いてきたハイヒールが見事に傾き、足に力が入らなくなる。
「!!っぶね・・・!」
「きゃあっ」
ドサッ
「す、すいませ・・・」
「いってーなぁ」
私は先輩の上に乗っかってしまっていた!
「ご!ごめんなさい!こんなこと・・・。」
こんな無礼、許されない。泣きそうになりながら謝る。怒っているかな?と思い、私は先輩の顔を覗く。
意外にも-。
司先輩はギョッとして目を見開いていた。
「お前・・・もしかして。」
「はい!なんですか!?」
どくどくと心臓がうるさい。
「中二のときの、湯川チキか?」
「今更ですか?湯川チキですよぉ~?・・・て、え?」
「俺だよ、俺。高校の時転校した、新野司。田町学園の。離婚して、今は三上だけど・・・。」
新野、司?
新野、司?
もしかして・・・。私が初恋した、あのひと!?