恋する上司は同級生!?
司の肩がぴくりと震えた。

「それでも、まだ私が好きだって、そう言えるの!?」

すると、予想外の言葉が戻ってきたのだった。

「言えるよ。確かに、チキが言ったことは図星だった。

俺は心から明奈を愛していなかった・・・心から愛していたのは、チキ、お前だよ。」


「はぁっ・・・?この場に至ってそういう事言う!?

・・・嘘つくのもいい加減にしてよ」

「違う、違うよ、チキ。お願いだから、俺の話を聞いて・・・?」

潤んだ目で見つめられたら、ううっ。黙るしか無くなっちゃうじゃん・・・。

「俺、中学時代から、チキが好きだったんだよ。

けど、親の転勤で突然チキと離れちまって・・・。

転校先は私立の男子校だったんだけどさ、勿論、大学は共学で・・・。

その時もチキが好きだったんだ!

諦めきれなかった・・・。それで、俺、寂しさ紛らわす為に明奈と付き合い始めたんだ。

サイテーだよな・・・。明奈の人生をめちゃくちゃにして」

ズキン・・・。司、なんで?

そんな悲しそうな顔で言われたら、何故か責められなくなっちゃうよ・・・。

すると、私が複雑そうな顔をしていることに気が付いたのか、

「なに?好きになっちゃった?」

ニタリといやらしい笑みを浮かべた司が顔を近付けてきた。

「ばっ・・・バッカじゃないの」

なわけない、なわけないよ・・・!

もう、司の事は・・・好きじゃないっ!

《司が好き》。そう認めたくないのに、どうしても、諦めきれない恋。

モヤモヤとした感情が、私の中に渦巻く。

途端に頭の中に明奈さんが出てきた。

《あたしのつーくん取らないで!》

その顔は、怒っているようでもなく・・・ただただ、悲しそうだった。明奈さん・・・。

「・・・ごめんなさい」
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