恋する上司は同級生!?
「嘘だよね・・・。ねえ?ポチ」

家に着き、家用のパジャマに着替えると、私は飼い猫、ポチ(猫なのに、なんでポチなんだろ・・・。)に聞いてみた。

けれど、ポチはにゃあ、と鳴くだけ。

「私・・・。どうすればいい?まだ、好きだよ?その・・・。中学時代の司くんのことは。けど、今の司先輩も、好きになっちゃったみたいなんだよね。どっちの司先輩を、好きになればいい・・・?」


みゃあ・・・。ポチは、またひとつ鳴いた。

「わからないよ・・・!」

結局、謎は解けないまま、つぎの日になってしまった。昨日は、一睡も出来なかった。

「あの!おはようございます、司先輩!」

どきどきしながら挨拶をする。

「おう、おはよ。チキ」

先輩は・・・。普通だ。舞い上がってたのは、私だけだったのかな。

でも、なんでかな。先輩、全然こっちを向いてくれない。なんでかな。私・・・、怒らせちゃったかな。

「仕事、くださいよぉ・・・。」

ぽつり、と呟く。他の社員さんが、こちらを振り返る。

「どうしたの?チキちゃん、落ち込んでるの、可哀想に」

寂しさや、もどかしさで、心配してくれる男性社員に身を寄せたくなった。

「せ、先輩・・・。」

先輩は振り返らない。私の言葉を無視してる。

「先輩っ・・・!」

「やる気ないみたいだから、もう帰っていいぞ、チキ。」

えっ・・・?

私・・・。やる気あるよ?先輩。どうして・・・?

悔しくて、辛くて。

私は目に涙を溜めながら、鞄にペンケースと残りの資料を入れ、ファイルにまとめ、しずかに、職場を後にした。
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