有心論
第3章
俺と桜の生活が始まった。
今までと同じ部屋なのに桜が居るだけですごく新鮮だ。
そして、誰かと飯を食うことが
こんなにいいことなんだと初めて知った。
俺と桜は似た者同士。
心に暗い影を隠している。
だけど二人で居れば居る程に希望の光も増えていく。
お互い不器用で伝えたいことは
うまく伝わらないことも多い。
だからこそ、相手のことを思いやることが大切なんだと思う。
今まで誰かを思いやるなんてことしたことないから戸惑いもあるけど、桜の事を誰よりも大切にしたいと思った。
すると、自分でも気付かないうちに俺は変わったみたいだ。
桜と暮らし始めて半年ほど経った最近、俺は後輩に慕われてきた。
オーナーにも最近笑うようになったようになったと言われた。
そこでいつも通り平静を装ってみたが、すごく嬉しかった。
今までは『ホストの俺』という鎧をまとって他人とどこか壁を作っていたが、少しずつ『本当の自分』を見せれるようになった。