有心論
第2章
もうすっかり寒くなってきた
11月のある日――――
俺はお前と出逢った。
いつものように仕事を終えて帰宅しようとしている時、店の前で場違いな少女を見つけた。
「清楚」という言葉がとても似合う外見。
しかし彼女の顔は今にも泣き出しそうで、その目からは俺と同じ孤独を感じた。
今から思ってもどうして声をかけたのか分からない。
いつもなら捨て猫が居ようが無視していて、こいつのことも無視するはずだったのに気が付いたら声を掛けていた…。
「おい!」
優しい声なんて出なかった。
強い口調で声を掛けた。
すると彼女は肩をビクッと動かし「なんですか?」と震える声で言った。
彼女の目はやっぱり俺と同じだ。
「お前なんでここに居るんだ?
ここはガキの来る場所なんかじゃねーぞ。」
俺は睨みながらこう言った。
普通の女なら怖がるところなのに彼女は違った。
彼女は怖がるどころか睨み返して「あなたには関係ないことです。」
と言った。