有心論


何だコイツ?


どう見ても泣き出しそうなのに
必死に強がっている。




もしかしたら俺もなのか?



客のことは金だと思い、偽りの自分でホストをする。



これはただの強がりなのか?



俺はどうしたいんだよ。


わかんねぇ…。





「あの!!」

彼女の声で我に返った。



「あ?なんだよ。」


「あたしに何か用ですか?」




用?


そんなこと言われたって気が付いたら声を掛けていたからな…。




「お前、家出か何かだろ。」


俺は彼女の質問には答えなかった。



「別に関係ないじゃないですか!」


また彼女は睨みながら言った。



「こんなとこに居ると危ないぞ。
ちょっと来い。」


「えっ!?ちょっ…」




俺は有無を言わさず彼女を車に乗せた。







< 5 / 22 >

この作品をシェア

pagetop