有心論
桜は話をしながら泣いていた。
小さな躯を震わせながら泣いている桜を見て思わず抱きしめた。
「辛かったな…。」
そう言うと桜は、何度も頷いた。
さっき偶然会っただけなのに
俺は桜を守りたいと思った。
今まで誰に対してもこんな感情抱いたことがないのに、桜を無性にいとおしく感じた。
「桜。もうそんな家なんか帰らなくてもいい。俺とずっとここに居ろ。」
「あたしっ…ここに居て…っ
いいの?」
「何かお前ほっとけねぇんだよ。
俺、今まで人と関わってこなかったから好きとかわかんねぇけど
お前を守りたいんだよ。」
「ありがとうっ…。」
俺はこの日から桜をずっと
守っていくと決めた。