欲しがる唇
想いは唇に
ここ最近は忙しく残業が続いていて、時計を見ると後二十分で日付が変わる。
二週間後にオープンするお店の棚割を作るのに時間もかかり、それ以外の仕事もあるから毎日が残業だ。
俺のアシスタントの彼女も明日が休みだからと俺に付き合ってくれてこんな時間まで残業をしてくれいる。
だがここ最近の彼女は元気もなく、仕事はちゃんとしているが笑顔が見られなかった。
彼女が俺のアシスタントになって半年。
一緒に仕事をするようになり、彼女の明るさや笑顔に次第に惹かれていった。
「神谷くん、そろそろ帰ろうか?」
「あっ、でも棚割で必要な画像が一枚足りないので倉庫から商品を持ってきて画像だけ撮りますね。」
「あっ、ちょっと待っ」そう言いかけたが慌てて彼女はオフィスから倉庫に向かった。
倉庫は暗いし明かりを付けても昼間程明るくはない。
俺も彼女を追って倉庫に向かった。
最近は倉庫に行ってないから商品が何処だったか迷ったが、一階にあるチョコレート倉庫に明かりが付いていた。
少し開かれた扉をゆっくり開け中に入ると商品を持ったまま彼女の目からは涙が流れていた。