誰かを好きになるということ
葵と私はちいさいころはあまり話したことがなかった。上のふたりのお姉さんたちに私はよく夏休みや冬休みの宿題を教えてもらっていた。葵には私たちの他にもいとこがいた。三姉妹で遊びに来るいとこのうち、一番上のお姉さんが葵のことが大好きだと私に言っていた。私は子供ながらに自分の感情を素直に言えてうらやましいなとずっーと思っていた。私にはまだそのとき、葵のことが大好きだという気持ちに気づいていなかったのかもしれない。でも葵が学校から帰ってくるとなんとなく嬉しかったのはよく覚えている。私の憧れが葵だった。
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